糸井重里
・ついに尾瀬に来ている。
いや、まだのようだ。
想像していた尾瀬に入る手前の尾瀬檜枝岐温泉で、
日本の秘湯につかったり、この原稿を書いたりしている。
いまのところ、なに不自由もなくたのしいばかりなので、
なんならここで帰ってもいいくらいだと言っている。
ま、そういうことではない、明日はあの長蔵小屋に着く。
しかし、長い旅である。
この尾瀬への旅については3ヶ月くらい準備している。
最低でも1時間、荷物を背負って歩くということなので、
足の裏が痛いのをなんとか治さなくてはならない。
日常生活に差し支えはなくても、尾瀬だからなぁ、と。
行ける時期を考えて、ついに、この時となったのだった。
さぁ、と靴とリュックを買いに行くのがスタートだった。
靴はもうすでに一度買って調整に出して買い直した。
足がいちばん心配な問題なので、慎重に選ぶし、
試し履きの散歩などもやってきた。
リュックのほうは、「じぶんの荷物をすべて入れる」という
いつもはしないコンセプトが新鮮だった。
だってね、いつもの旅なら、あれもこれも「あっちにある」
「あっちで買えばいい」で持ち物を減らしているわけだ。
しかし、山小屋に泊まる場合は、近くに店はない。
さらに、クルマに積み込むのではなく背負って運ぶ。
歩く道のりは、車輪のついた道具は使ってはいけないのだ。
ないと困るというものは持って行きたい、しかし、
持てば持つほど重くなるのである。
なにが必要でなにが不要か真剣に考える機会になった。
考え抜いたが、リュックの重量は7.6キロになっていた。
ものすごく重いのは、もう見るからにだった。
ただ、かつてよく京都への旅に同行していた
故愛犬ブイヨンちゃんは8キロ以上あった。
ブイヨンより軽いのかと思うと、なんとかなりそうだった。
お菓子やら電源関係の重いものやらも減らしたが、
レインギアの上下とストックは、しっかり入れた。
いま現在は、こぢんまりとした旅館で明日を待っている。
‥なんだか、ちょっといいでしょ、こんな感じ。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
行ったことない尾瀬が、明日、初めて来た尾瀬になるのだ。
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